~ コミュニケーション③ 保育士と保護者 ~
皆さんこんにちは!当ホームページをご利用頂いている方の中には保育士を目指している方もいらっしゃることと思います。子供たちと戯れながら元気に楽しく働ける職場ではありますが、一方で保護者との関わりは切っても切れないものであり、不安に感じている方も少なくありません。昨今では「モンスターペアレント」という言葉も出てきているように無理難題を押し通すような保護者もいてマスコミを騒がせていたり、若い保育士にとってはほとんどの保護者は目上に当たるため、付き合い方も難しいと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、保護者との信頼関係はどのように築いていったらよいのか、また、基本的なコミュニケーションの取り方やトラブルが起こってしまった時の対処法など考えていきたいと思います。
1.信頼関係を築くコミュニケーションとは
保育士からすると「保護者とトラブルになったらどうしよう…」「年上の保護者とどう話していいかわからない…」などの不安があるかと思いますが、逆に保護者も「どんな先生なんだろう」「うちの子はこの保育園で仲良くやっていけるかな」など様々な不安を抱えています。
まずはその点を認識をした上で、自分ならどのような接し方をされたら安心できるのかを考え、保護者と接していくとよいでしょう。
以下にいくつかポイントを挙げてみます。
- 些細なことでもコミュニケーションを増やす
保育士が保護者と会うのは送り迎えのわずかな時間となり、さらに働きながら子育てをする方も多いため毎日ゆっくり話ができない保護者も多くいます。そんな中でもまずは笑顔で挨拶をし、「〇〇ちゃんは昨日、楽しそうに折り紙をしていましたよ」「〇〇くんは嫌いだったニンジンを食べたんですよ」など日常の些細な出来事や成長を一言伝えてあげるだけでも保護者には「ちゃんと見てくれている」という気持ちが伝わり、寄り添う気持ちが強くなります。積極的に会話しやすい雰囲気を作ることで保護者側も話しやすいと感じ、「今朝目をかゆがっていたので少し心配なんです」など子供の様子を伝えてくれるようになるでしょう。このように、日々の小さなコミュニケーションの積み重ねは信頼関係を築いていきます。
- 言葉遣いに気を付ける
例えばあなたがジムや習い事などを始めたとして、いくら年齢が近かったり仲良くなったとしても先生である相手にタメ口をきかれたり命令口調でお願いをされたらどう感じますか?
保護者はお金を払って保育というサービスを利用している立場ですので、保育士についても同じことが言えます。親近感を持って言ったつもりでも、保護者は傷ついたり不快に思うことがありますので言葉遣いには注意しましょう。
また、お願いや指示などを行う場合は家庭の事情によりできないこともあるため、「カバンは手作りしてください」「帽子は学年で1年ごとに新しく買ってください」など命令口調で言うのではなく、「できれば〇〇して頂けるとありがたいです」など柔らかい印象となる口調を心掛けましょう。
- 伝えづらいニュースは口頭で
保護者に対し良い面はもちろん伝えやすいですが、問題行動など悪い面も伝えなければなりません。保育士は日々連絡帳の記帳により保護者へ子供の様子を伝えますが、マイナスなことは事務的に伝えるだけでなく、「〇〇くんはお友達をたたいてしまうことがあるので、ちょっとストレスが溜まっているのかな」など口頭でもさりげなく伝えるようにしましょう。
送迎時に毎日顔を合わせているのにどうして言ってくれないのか、という保護者側の不満をあおらないためにもやはり日ごろのコミュニケーションは大切です。
2.NGワード
ではコミュニケーションをとる際、注意しなければならないキーワードはどのようなものがあるのでしょうか。
保護者の気持ちを考えながら例を見ていきましょう。
- 「子ども同士ではよくあることです」
例えば男の子同士でケンカしてしまい、身体に傷ができたとします。その際、保育士は謝りながらも「子ども同士ではよくありますよ」と発言したとしましょう。傷ついた子供を帰されて、親はどう感じるでしょうか。
もちろん「よくあること」に変わりはありませんが、保育園でお預かりしている限り、子どものケガは保育士の責任です。責任逃れとも取られかねないため、このような事態が起こった時は誠心誠意謝罪しましょう。
- 「おうちでも注意してください」
子どもなので言うことをきかないこともありますが、そんな時は誰の責任だと感じますか?
家庭に問題がある場合もありますが、保護者に「言うことを聞かないのでおうちでも注意してください」と言う前に、子供に対する自身の言い方や態度を振り返ってみて下さい。子供は正直なので、「先生が話を聞いてくれないからいうことを聞かない」などと保護者に話した場合、落ち度は保育士側にあると感じ取られてしまうこともあります。
一方的に家庭が悪いと決めつけるのでなく自身を振り返り、それから家庭ではどうなのか、保護者にたずねてみることも大切です。
- 若者言葉
具体的なワードではありませんが、若い保育士同士なら「え?マジ?ウケるんだけど」「チョーめんどくさい」などいわゆる”若者言葉”がつい出てしまうこともあるでしょう。
しかし、それを耳にした保護者はもちろん良い気分にはなりません。
最悪の場合、そのような言葉を使う保育士個人に対するだけでなく、注意をしない保育園そのものに対し不信感を募らせてしまいます。
保育園は職場であって教育機関です。社会人として常識のある言葉遣いを心掛けましょう。
3.トラブルになってしまった場合の対処法
気を付けてコミュニケーションを取っているつもりでも、時にはトラブルに発展してしまうこともあります。そんな時はどのように対処すべきか、基本的なクレーム対処法をご紹介します。
まずは相手を受け止めるという心構えで誠心誠意、最後まで相手の話を聞きましょう。相手も感情を吐き出しているうちに冷静になってきます。そして人間は否定されると感情的になりますので、むやみに否定や反論をしないことです。話を聞きながらクレーム内容を確認しましょう。
難しいですが、その際は安易な謝罪や回答をせず、早めに園長や主任に相談し一人で対応することはやめましょう。悪いことほど速やかに報告し、職員同士で情報共有をすることで、同じようなクレームがあった場合にも対処しやすくなります。
そしてこれらの対応を行った上で、できることがあればすぐに実行していくようにしましょう。
4.まとめ
保護者との関わり方、いかがでしたでしょうか。なかなか難しい面もありますが、結局は人と人との関わりなので相手の気持ちを考えて心を込めて臨機応変に行動することが大切です。
保護者と良い信頼関係を築くことができれば、いざという時に協力してもらえたり味方になってもらえるはずです。一家庭一家庭環境も異なり、理解しづらい部分もあるかと思いますが、「先生が担任でよかった!」「ありがとう」と嬉しい言葉を掛けてもらえればやりがいもひとしおですよね。せっかく取得した資格を活かし、ぜひ日々のコミュニケーションを大切に、保育士ライフをエンジョイしてください!!