子供への認知症教育と認知症サポーター

皆さんこんにちは!高齢化とともに多くの人を悩ませている認知症。少子高齢化で認知症の人の割合が増えていく中、地域や職場などで、認知症とともに歩む姿勢が問われています。国は認知症に関する正しい知識と理解をもち、地域や職域で、認知症の人や家族に対してできる範囲で手助けをする『認知症サポーター』の養成を呼び掛けており、子供も対象となるため全国各地で子供への認知症教育が行われています。今回はこのキッズサポーターの養成講座や教育について実際の例を参考に見ていきたいと思います。

 

 

認知症でよく見られる妄想のひとつに、大事なものを盗まれたと訴える「物盗られ妄想」があります。

 

1.認知症サポーターとは

認知症サポーターは,認知症について正しく理解し,認知症の人や家族を温かく見守り,支援する応援者のことです。

厚生労働省は、2005年から「認知症を知り地域をつくるキャンペーン」を「認知症サポーターキャラバン」と名付け、認知症サポーターの養成を行っていました。

2015年に発表された認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)では、「認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進」が打ち立てられ、その主な施策として認知症サポーターが取り上げられたのです。

『認知症サポーター』を養成する、と聞いてまず『そういう資格が必要なんだ』と受け取りがちですが、そんなことはなく、およそ90分の養成講座を受講するだけで誰でもなることができます。特別な職業や資格は必要でなく、大切なのは自分の日常生活の中で認知症への理解と支援の心をもって行動することです。養成講座修了時にはその証であるオレンジリングを受け取ることができ、受講費用はかかりません。

様々な養成講座が開催され、多くの人が参加した結果、令和2年6月末時点で約1,270万人もの認知症サポーターが誕生しています。

 

2.子供への養成講座

認知症サポーターは子供でもなることができることから、子供への養成講座も開催されています。また、養成講座ではなくても認知症を子供たちに理解してもらおうという取り組みがなされています。

核家族化し介護とはあまり縁のない今の子供たちへどんな風に教育が行われているのか、例を見ていきましょう。

 

その①.『神奈川県大和市』

テーマ:「認知症キッズサポーター養成講座」

規模まはた対象:市内の小学校2~6年生の7人

開催内容:

「認知症サポーター」の養成講座を2009年度から開催。高齢化の進展により19年度に対象を小学生に広げ、2020年までに計54人が受講している。市職員が講師を務め、小学生向けの規定テキストのほか、独自に紙芝居や寸劇、クイズを交えながら認知症の原因や症状、困っている当事者を見掛けた際の接し方などを分かりやすく説明した。

 

その②『茨城県ひたちなか市』

テーマ:「認知症キッズサポーター養成講座」

規模まはた対象:市内在住の小・中学生等(小学4年生以上で,おおむね10名以上)

開催内容:

受講を希望する小・中学校において「認知症キッズサポーター養成講座」を開催。

地域包括支援センター職員等 2~4人程度が講師となり、 ビデオ,寸劇鑑賞などによる「高齢者」「認知症」に対する知識取得や、困った場面を想定し「こんなときはどうしたらいいの?」ということをみんなで考えてみることなどを行っている。

 

その③『千葉県千葉市』

テーマ:「認知症こども「力(ちから)」プロジェクト」

規模まはた対象:小学校高学年~中学生

開催内容:

講義や施設見学、ポスター作製などを医師、看護師、保健師、臨床心理士、精神保健福祉士等が千葉市と共同で認知症キッズワークショップを実施。子供のみでなく日頃から子ども達の教育者として関わっている学校の先生と一緒に認知症教育について考えていきたいということから教員のための認知症ワークショップも開催。ご参加いただいた先生の意見をもとにスタッフでこども向け認知症クイズを低学年用と高学年用にそれぞれ作成。クイズは自由にダウンロードできるようになっており、各家庭でも使用が可能になっている。

 

その④『大阪府大阪市』

テーマ:「認知症フレンドリーキッズ授業」(今回は認知症理解とVRを使用した認知症体験)

規模まはた対象:小学校6年生40人

開催内容:

コミュニティーソーシャルワーカー2人が認知症について説明し、大切なことや伝えたか不安になったりするときに何度も同じことを言うのと、認知症の人が繰り替えし同じことを言う心理のは同じであること、後でやろうと思っていたことを頭ごなしに先にやりなさいと言われたら誰もが不快な気分になること、などを例に挙げ、誰でも決めつけて言われるのはいやなものなので、決めつけずにまずは聞いてあげてほしいという接し方を伝えている。

その後、小学生が仮想現実(バーチャルリアリティー=VR)の最新技術を使い、認知症の以下A~C3つの症状を体験。

A.自分のいるところが分からなくなり道に迷う
B.階段を降りようとするが高低差が分からない=空間認識の欠落
C.自宅のリビングに見えるはずのない女の子が見える=幻視症状

子どもたちは「高さがよくわからなくない」「歩きにくい」「みえないはずのものが見える」などと感想を言い合い、「認知症の人の気持ちが分かった」「認知症の人に寄り添ったり、相談に乗ってあげたりしたいと思った」という声が聞かれた。

3.子供への期待理由

ではなぜここまで子供への教育や期待がなされるようになったのでしょうか。

それは、一般的に高齢者の多くは子どもに対して寛容であることが関係しているようです。そのため、主介護者である配偶者や実の娘や息子の「子ども世代」だけではなく、孫・ひ孫といった「孫世代」にあたる子ども達への認知症教育が重視されるようになりました。

子ども達が認知症を学習し、それを家族に伝えることで、主介護者である親世代の認知症介護力の向上や、認知症の人と介護者の関係性の向上、介護負担の軽減に繋がると良いですね。

4.まとめ

子供への認知症教育について、いかがでしたでしょうか。

幼稚園が併設されている老人ホームをいくつか見かけたことがあり「幼稚園児と高齢者、どちらも面倒をみるのは大変そう」と感じたことがありますが、実は併設していること自体が意味のあることだったんですね。子供の頃から少しでも知識を持っていれば街中で”この人ちょっとおかしいんじゃないかな”という人を見かけたときに怖がったり見て見ぬふりをすることが減り、地域ぐるみでのケアができるようになったり、それらがきっかけで介護分野に興味をもつ子供が増えることもあるでしょう。少子高齢化社会の日本では認知症高齢者は増加していく一方なので、子供たちにも機会があればぜひ認知症を理解する教育を受けてほしいなと思います。