『~介護職と腰痛、原因と対策について~』

皆さんこんにちは!介護職を目指している方も多いと思いますが、介護職は腰痛になりやすいという話はよく聞くのではないでしょうか。

事実、介護職にとって、腰痛は職業病ともいえるほど多くの方が悩まされている症状です。
一度腰痛持ちになってしまうと治るまでになかなか時間がかかり辛い思いをしなければなりません。
そうならないためにはどうしたらよいのか、腰痛を引き起こしてしまう業務や対策について考えていきましょう。

1.腰痛発生の現状

休業4日以上の職業性疾病のうち、職場での腰痛は6割を占める労働災害となっており、特に高齢者介護などの社会福祉施設での腰痛発生件数は大幅に増加していることから、厚生労働省では平成25年6月に「職場における腰痛予防対策指針」を改訂し、適用範囲を福祉・医療分野における介護・看護作業全般に広げ、腰に負担の少ない介助方法などを加え腰痛予防を呼びかけています。
また、財団法人 社会福祉振興・試験センターの調査によると、退職理由としては「腰痛を含む業務に関連する心身の不調」が家庭環境や収入面などの理由を上回り最多となっています。
このように、介護現場での腰痛は国としても大きな課題として捉えられています。

 

㈶社会福祉振興・試験センター「平成27年度社会福祉士・社会福祉士就労状況調査」より

2.腰痛につながりやすい業務

ではどのような業務や姿勢が腰痛を招いているのか、具体的に見ていきましょう。
腰痛が起こる原因は、主に動作的要因・環境的要因・個人的要因の3つだと言われていますが、
ここでは既往歴や体格・基礎疾患や心理的な問題など個人的要因は除き、動作的要因と環境的要因に絞ってご紹介したいと思います。

 

≪動作的要因≫
動作的要因とは、重いものを持ち上げる、無理な姿勢で作業するといった、動作による腰への過度な負担・負荷のことを指します。介護職ではメイン業務になりますね。
・おむつ交換や体位交換、入浴介助、トイレ介助などでの前かがみな姿勢
・要介護者の隣に座って介助を行う食事介助
・車椅子からベッドに移動する際や入浴、トイレの際などに、要介護者を抱えて持ち上げる移乗介助
≪環境的要因≫
環境的要因とは、介護をする環境から受ける影響に関係することを指します。
・職場が寒くて冷える
・ベッドなどの配置が悪く移動しづらい
・照明が暗く足元の様子を確認しづらい

動作的要因に比べると、環境的要因は個人での努力や職場や上司への相談により改善できることも多そうです。

3.予防と対策

それでは辛い腰痛の予防と対策について、個人でもできることは何なのかを探っていきます。
難しいことはありませんので、ぜひ日々の業務で上手に取り入れてみて下さい。

 

≪人間の体がもつ力を効率よく使い、腰への負担を軽減する≫
・介助の際には重心を低くする。
例えばベッドや床に寝ている要介護者の体を抱き起こす際には、腰を曲げて前かがみになるのではなく、膝を曲げて腰を落とし、重心を低くした状態で動くようにします。
・足や腰、背中などの大きな筋肉を一緒に使って介助する。
・食事介助の際には、腰をひねらず、体ごと要介護者に向けるようにする。
・介助前に声掛けし、利用者自身の動きを引き出す。
突然身体を動かそうとすると利用者がびっくりして無意識のうちに抵抗してしまい余計な力が必要になってしまうため、「今から身体を動かしますね」「1,2の3で立ち上がりましょうね」など、これからの動きやタイミングを伝えることで本人の協力を得る。
≪福祉用具・福祉機器を活用する≫
いくら介助姿勢を改善したところで、介護のためには高齢者を抱き上げるなどどうしても身体に負担がかかることは避けられません。
そのため、適切な福祉用具や福祉機器を活用することも大切なポイントです。介護士への身体の負担を軽減するだけでなく、安全な介護にもつながるので道具がある場合は積極的に利用するとよいでしょう。
・電動リフトを使用する。
・持ち手付き補助ベルトを活用する。
・移乗介助の際、スライディングシート・ボードを活用する。
・腰痛ベルトやコルセットを着用する。
≪その他≫
・立ち仕事が続くときには間にデスクワークを挟むなど、適度なタイミングで座って休憩を取る。
・エクササイズを習慣的に行い、体の血行をよくし、筋肉のコリをほぐす。

4.まとめ

腰痛の原因と予防、いかがでしたでしょうか。
人間、しかも大人の介助を行う以上、身体への負担は避けられません。ですが、腰痛になって悪化すれば最悪仕事を続けられなくなってしまいます。
スタッフ不足で一人当たりの負担が多いなど環境要因が強い場合は組織体制を見直してもらうことも必要ですが、まずは個人でできることから改善していきませんか?
それでも万が一、腰痛になってしまったら早めに医療機関を受診することをお勧めします。
介護職が腰痛になった場合、業務が原因で腰痛が発生したことを証明できれば、労働災害(労災)として認定されますので、こちらの申請も忘れずに!!
腰痛を招かないために、ぜひしっかり休息をとって、要介護者の身体だけでなく自身の身体もいたわりながらベストな体調で業務を遂行していきましょう。

 

 

    食事介助のイラスト「おじいさんとヘルパーさん」