『北欧諸国の高福祉高負担』

皆さんこんにちは!『保育士不足問題を考える』の回でも話題にしましたが、今日本は少子高齢化に歯止めがかからない状態です。消費税が5%から8%になり、今では10%になったことも記憶に新しいと思います。「消費税が上がる前に〇〇を買わないと!!」と意気込んで買い物をした方もいらっしゃるのではないでしょうか。会社員であれば毎月のように年金を納めますが、実際に自分たちが高齢になった時の支給額が心配、という声もよく耳にします。

『北欧は高福祉高負担だが国民の幸福度が高い』と言われますが、具体的にはどのような政策があるのでしょうか。今回は北欧3国の策をご紹介していきたいと思います。

1.北欧の税制

まずは「高福祉高負担」の「高負担」からご紹介します。私たち日本人は現在、飲食料品と新聞以外は消費税10%を納めていますが、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドの人たちは一体、どのくらい税金を納めていると思いますか?
正解は3国ともに、なんと25%!!(※財務省「付加価値税率の国際比較」より2020年1月現在のデータより)
消費税が高くなったと言っている私たち日本人の2倍以上です。
参考までに、中国13%、トルコ18%、フランス20%、イタリア22%。。。世界の税率を比較すると、日本の10%は低い部類に入ることがわかります。
では25%もの高い消費税はどのような福祉制度を支えているのか、事項で紹介していきます。

2.スウェーデン

  • スウェーデンでは子育て支援の充実が特徴となっています。
  • 勤労意欲を高める年金制度
    保険料の納付は、会社員、自営業、公務員の区別なく、将来にわたり年間所得の18.5%に固定されています。また、拠出建てになっており納めた保険料に見合った給付が受けられます。日本では会社員と自営業、扶養に入っている主婦で括りが変わりますよね。
    被保険者でいられる年齢の上限が無いため、収入があれば何歳でも保険料を納め続けて給付額を増やすことができ、受給年齢を遅くすることで、年金額を高くすることもできます。
  • 学費無料
    幼稚園や小中学校までの義務教育はもちろん、高校や大学の学費も無料です。私立大学であっても学費は無料。大学の学費は日本では私立大学になると年100万円以上もする学校も多く、親にとっては大変大きな負担です。
  • 医療費無料
    20歳未満・85歳以上は原則医療費が無料です。さらに、20歳以上は診察料は有料ですが、年間の医療費は最大約15000円まで。それ以上の医療費は免除となります。(人間ドックやワクチン接種など対象外もある)
    薬代も最大30000円まで。それ以上は免除されます。その他、産婦人科の受診費用や40歳以上の乳がん検診、命に関わる病気の精密検査なども無料となっています。
  • 子供手当
    16歳以下の子供に対し、申し込みをしなくても自動で手当が支給されます。金額は一人あたり月額およそ14000円。日本でも企業によっては家族手当はあるものの、スウェーデンの子供手当は会社によらず全員が対象なのでその違いは大きいでしょう。
    また、子供1人あたり480日間の育児休暇も支援しています。

その他、世帯収入に応じて最大毎月およそ18,000円の住居手当をもらうことができる制度や手厚い求職支援などもあります。

3.ノルウェー


ノルウェーでは高齢者に対する社会保障を充実させつつ、社会参画も推進しています。国民保険は年金の他、労災、疾病、妊娠出産、葬儀など幅広く給付を受けることができるようになっています。

  • 選べる老齢年金受給時期
    年金受給年齢は67歳ですが、62歳~75歳の間でフレキシブルに年金受給をスタートでき、仕事をしながら年金を得られるシステムになっています。
  • 父親の育児休業期間設置
    育児給付制度は賃金の100%が保障される46週間または賃金の80%が保障される56週間のどちらかから選択可能で、そのうち12週間は父親のみが取得可能という条件になっています。日本ではよく父親の育休取得問題が取り上げられていますが、父親のみの期間を設けてしまえば確かに取得率は上がりそうですよね。
  • 医療費無料
    スウェーデンと類似した医療給付制度もあり、無料で病院での医療を受けることができます。カウンセリングや病院までの移動費用、薬代などに一部負担はあるものの、負担額は上限が定められており、それ以上の費用は医療給付をうけることができます。

4.フィンランド


フィンランドでは営利目的の福祉サービスは存在せず、自治体が民間のサービスを買い、非営利団体に措置費を払い、監督・運営することによって社会福祉とサービスを担っています。スウェーデン、ノルウェーと同様、子育てや医療への手厚い補助もあります。

  • 最低限の保証がある老齢年金
    日本では「国見年金」と「厚生年金」が分かれていますが、フィンランドでは一本化されています。国の税金から支給され、年金受給者も住宅手当を受け取ることが可能なため、若いときに収入のなかった人でも15万円程度の年金が保障されています。
  • 教育費無料
    プレスクールから大学院までの教育費は全額無料、さらに教材費用や給食費、交通費まですべて無料となっています。家庭の環境や経済状況に影響されることなく、全ての子どもたちが教育を受けられる環境・権利が保証されています。
  • 出産のための父親の休暇制度設置
    産休が105日、育児休暇は158日で、父親母親どちらが取得してよいことになっていますが、出産に関して父親休暇があり、6日から30日 まで父親も休暇をとることができます。在任中であったリッポネン元首相も父親休暇を取得しています。また、育児に必要な衣類などのパッケージ(または給付として受け取ることも選択できる)が国からプレゼントされます。
    子供が3歳になるまで、無給ではありますが、職を失わずに育児休暇を延長することができるのも大きな特徴です。日本では企業によってバラバラで、3年というのは長い方だと思います。

5.まとめ

このように、北欧型の福祉国家は高負担ではありますが、その見返りも大きいです。ただ、長所ばかりではなく、民間の負担が大きかったり不況や高齢化の影響で崩れやすい体制であったりと短所も存在します。
今後、日本も高齢化社会が本格化していく中で北欧モデルの福祉国家を理想とする声も多々ありますが、高福祉高負担へシフトしていくためには短所をカバーすることを考慮しなければ、絶対に長続きはしないでしょう。
リスクは大きいですが実現できれば「幸福度」は高いので、一概に北欧が正解で日本が間違っているとも言えません。数年後、数十年後、自分はどのような状況に置かれているのか、国民全員が幸せになるにはどのような制度が必要なのか、たまには政治の動向を伺ってみるのも良いものだと思います。