『保育士不足問題を考える』

皆さんこんにちは!「一昔前に比べ、子供が減った」「3人兄弟は珍しい」「小学校の統合」など、少子化を耳にすることが増えたと感じる方は多いと思います。しかし子供が減る一方で、「保育園落ちた日本死ね!!」というブログが注目を集めたことは記憶に新しく、保育園に入れたいが入れない「待機児童問題」を耳にしたことがある方も多いと思います。子供の数が減っているのに保育士は深刻な不足問題に陥っている、この矛盾はなぜ起こっているのでしょうか。
今回はそんな保育士不足の原因と解決に向けての案を探ります。

 

1.少子化と待機児童

日本では、1970年代半ばから少子化現象が続いています。内閣府によると、第1次ベビーブーム1期には約270万人、第2次ベビーブーム期には約200万人の出生数だったが、1975年に200万人を割り込み、それ以降、毎年減少し続け、1984年には150万人を割り込み、1991年以降は増加と減少を繰り返しながら、緩やかな減少傾向となっているとのこと。
2011年では、105万806人と前年の107万1,304人より2万498人減少しているそうです。

一方で厚生労働省の取りまとめによると、2017年4月時点の待機児童数は2万6081人、前年より2528人アップしています。さらに、この数に含まれない「隠れ待機児童」の存在も指摘されています。「夫婦の出産意欲調査」では『「保活」がなければもう一人子どもを持ちたいか』という質問に対して全体の41・8%の人が「はい」と回答しています。待機児童問題と少子化問題は密接な関係にあるのです。

2.待機児童増加の原因

では少子化の中、待機児童が増加している原因はどのようなものがあるのでしょうか。
原因は大きく分けて3つあると考えられます。

  • 女性の社会進出化
    昔に比べ、女性の社会進出は進んでいます。1980年代から右肩上がりし、2016年から2017年にかけては共働きの家庭がおよそ60万世帯アップしています。時代が変わり女性もキャリアを積むことが可能になりつつあり共働き世帯が増える一方で、核家族化・晩婚化も進んでおり、実家が遠かったり親が子供の面倒を見られる状態でないなど子供を預けることが難しい環境にある人が増え、保育施設を希望する声が増えています。

 

  • 保育園数の減少
    保育所の定員数は2015年から2016年にかけて1万人以上増加しています。しかし、増加部分の内訳は定員枠が若干名で満2歳までであったり、一般住宅や会社の敷地内を利用したりして運営している特定地域型保育事業が半数、残りの半数は延長保育の時間が短かったり行事や役員の仕事も出てくる幼稚園型認定こども園・幼保連携型認定こども園です。
    どちらの施設も児童受け入れ人数として見れば確かに増えているものの、利用者のニーズにあっていないケースも多いと言えます。

 

  • 保育士の減少
    保育士1人あたりが同時に保育できる子どもの数には、基準が設けられているため、子どもの定員数に直結します。しかし厚生労働省によると、保育士の資格を取得しても、保育士として就職しない人が半数を占め、5年未満での早期退職も相次いでいるそうです。
    この原因については事項で詳しく見ていきましょう。

 

このように、待機児童問題の背景には時代の移り変わりにおいて、制度整備が伴っていない現状があるのですね。その他にも国や各自治体の予算不足や都市部に人口が集中しているための土地不足などもあるようです。

 

3.保育職場の現状

それでは次に、保育現場での問題について考えていきます。前項「保育士の減少」にて触れた、資格を取得しても保育士にならない人や退職者が多いことが保育士不足の原因と言えますが、その原因は何なのでしょうか。保育現場の現状から以下の理由が見えてきました。

 

  • 責任の重さ・事故への不安
    厚生労働省の調査によると、保育士になりたくない理由の1位は「責任の重さ・事故への不安」となっています。保育所では小さな命を預かっており、ちょっとした油断やミスが取り返しのつかない事故につながる可能性も高いため、非常にメンタル面での負担が大きくなっています。また教育業界のため、「モンスターペアレント」問題もメンタル面へ不可をかけることがあります。

 

  • 多忙性と低賃金
    保育士の仕事内容は子供の世話のみではなく、年中行事の開催やそれに伴う園児への催し物指導、保護者対応、各個人の成長記録や課題を保護者へ報告するための膨大な書類処理、判断の難しい発達障碍児への対応など様々なものがあります。イベントはすべて職員の手によって行われるため、飾りつけや衣装制作など自宅へ持ち帰っての業務になることもあり、休憩時間もあまり確保できないのが現状です。
    そこへ上記の「責任の重さ・事故の不安」が乗っている状態なのです。


しかし一方、給与は決して高いとは言えません。
厚生労働省によると、保育士の平均賃金は21万円程度。いわゆる「OL」と変わりませんし、同じく要資格職である看護師は32万以上ですので、かなりの差があります。

子供の命を預かりながら多忙におわれ、休憩もろくにとれない、、、保育士になりたい!!とせっかく学校を卒業しても、研修などでこの現状を知り、他の道を考えてしまうのも無理はないのかもしれません。

4.解決策

では保育士不足を解消するために求められる策は何なのでしょうか。
大変個人的な見解になりますが、まずは現状、保育士が足りていないということから資格を所有しているけれど、職に就いていない方へ応募してもらえるよう、保育職が魅力に感じてもらえるような待遇改善が必要だと思います。人手不足が解消されれば保育士一人当たりの負担減につながり、休憩時間の確保にもつながります。

次に、事務処理や行事準備が膨大であれば、それぞれ「事務はおまかせ」「裁縫などの行事準備はおまかせ」など分野を分け募集すれば、体力に自信がないという理由で保育士を諦めている資格保持者の応募が期待できたり、残業が多いという理由で離職する保育士を食い止めることができるのではないでしょうか。事務に関しては、テンプレートの活用などIT化を進めるのも良いポイントだと思います。

このようにして保育士不足が解消されれば待機児童減少にもつながると思うのですが、いかがでしょう。
とはいっても給与問題や施設を増設することは国や自治体の協力なしにできないためやはり根本から改善が必要だとは思います。

5.最後に

保育士は、私たちの将来を担う人材を育てている大事な職業です。現場の課題は多いですが、なくてはならない重要な職業だと思います。

ある友人は保育士として正社員で働いているのに自分の子は入園禁止というルールがあり、わざわざ少し離れた実家へ子供を預けてから出勤しています。また他の友人は、仕事を持つ彼女の両親が「他に面倒を見ることができる人」に該当するという理由でシングルマザーでも保育所から断られ、働かなければならないけど働けないという状況でした。他にも50代を過ぎて耐力に自信がなくなり、離職した保育士も知っています。

子供のいない私個人の周りでもこれだけ保育所に関する情報が普通に集まってきます。
日本全体ではものすごい数になるのだろうなと思います。日本の将来がかかっているといっても過言ではないこの問題、時間はかかりそうですが、10年今後の国の対応に少し期待をしたいものですね。